広告作成費の削減に対する弊害
不況に陥ると、多くの経営者はコスト削減に着手するでしょう。しかし安易な見直しが企業の競争力をそぐ結果に陥りやすいのが、広告制作費です。優れたク リエイティブは、企業や商品ブランドの競争力を高め、効率よいビジネスを行うための、大切な企業資産です。コスト削減を行なう際には慎重に検討を重ね、ダ メージを最小限にする方法を実行しなければなりません。
まずは、媒体費と制作費の正確な費用を把握することが必要になります。媒体費は地域によって異なる場合が多く、制作費は広告代理店へ支払う総額の中 に吸収されてしまっていることもめずらしくありません。その他制作工程を管理するための隠れたコストや、複数のマーケット向けに異なったクリエイティブを制 作する際に発生するコストなどが加算されはいないでしょうか。これらの項目のすべてを最適化することができれば、大幅なコスト削減が可能になるはずです。
またここ数年、企業の多くは外注事業者との関係を見直し、迅速なコスト削減を実現しようとしています。しかしコスト削減だけを考えて代理店や制作会社を選 択すると、一貫性のあるブランド・イメージが損なわれてしまいます。たとえば、グローバルなキャンペーンを展開する場合、広告やテレビCMを国や地域ごとに 違う代理店にまかせると、クリエイティブの品質がばらばらになってしまうばかりか、かえって1社に発注することによって生じていたコスト・メリットをも得られな くなります。さらに、本社側で進行管理までしなければならなくなるので、むしろ社員の業務が増え、その分のコストも増大してしまうでしょう。
外注費を削減するために、クリエイティブを制作するという選択肢を検討する場合もあるかもしれません。しかし、クリエイティブな作業を行なうための環境の 整備や教育費など、おのずと固定費が増えることにつながります。制作をインハウス化するという選択肢は、短期的にコスト削減が可能かもしれませんが、長 期的には隠れたコストや問題が発生します。
広告制作の効率化を図る
広告制作の効率化をはかるために検討するにふさわしい、いくつかの方法があります。
1.制作拠点を集中させる
広告代理店の制作業務をひとつにまとめ広告をより迅速に市場へ出せる効率性、またスケール・メリットによるコスト削減効果など、 広告制作の工程を1か所 に集中させることには大きな意味があります。これまでの実績を検証し、業務プロセスの合理化を図ることができれば、相対的にコストを抑制することができ ます。
さらに、すべての媒体間で統一された、品質の高いクリエイティブの展開をするというメリットも生まれます。
2.クリエイティブ資産の一元管理を行なう
管理のプロセスや手法を見直し、ブランド別、国別、カテゴリー別にクリエイティブの検索、アクセスができるようにしましょう。一元管理できれば、重複が減り、 必要な時に必要なクリエイティブ資産がすぐに活用できるようになります。
さらにワークフローを標準化し、オンライン上で管理するシステムなどを用いれば、プロジェクトの進捗状況をすべての関係者が確認できるようになります。複 数の担当者がそれぞれ別の媒体を管理している場合などは、こうした工夫をすることでコスト削減と高品質が同時に実現します。
3.購買力の最適化
広告出稿の際には、ひとつの専門業者に業務を委託することによる購買力が向上できないか再度確認を行ってみましょう。また、制作に関しても、ひとつの 制作会社に制作費を集中させることによって、コスト抑制が可能になります。
4.効率の良い印刷
一般に印刷は、多くなればなるほど単価が安くなります。そのため、一度の発注でなるべく多くの部数を発注する場合が多いようです。これは一見整合性の ある取引のようにも思えますが、先行きがわからない時期においては、ジャストインタイムで発注したほうが、安くなるケースもあるのです。最近ではオンデマ ンド印刷のように小部数から対応可能な仕組みもありますので、一度検討してみると良いでしょう。
5.デジタルと印刷物
パンフレットは印刷物が良いと思い込んではいないでしょうか。現在では、インターネットからダウンロードするという形でパンフレットを手にいれることもできる のです。必要な時にすぐに手に入るデジタルパンフレットの方が消費者のニーズにあっているという場合もあります。印刷物とデジタルの両方を効果的に使い 分けることで、コストダウンを図ることも可能です。
6.日々進化し続ける
ワークフローを変更する際は、コスト管理、生産性、効率性といった観点から、最も効果的で実行可能な解決策を選択する必要があります。制作における ワークフローやプロセスは、日々進化しています。将来の行動方針を決める際は、そのつど改めて社内外の制作発注プロセス自体を検証する必要がありま す。





