セールスとマーケティングの関係を見直す
素晴らしいマーケティング戦略を作り上げても、セールス(営業)活動に展開できなければ、意味がありません。マーケティング部門とセールス部門は、密接に協力して顧客に価値を届けることが重要です。
しかし、両者は似て非なる部門であるために、時として協業が進まない場合もあります。例えば立案した戦略をセールスの人たちに説明しても納得してもらえず、その結果、思った通りに戦略を展開できないというマーケティング担当者は多いのではないでしょうか。逆に、マーケティング担当者たちが話す内容が抽象的すぎて、現在の自分のセールス活動にはあまり役立たないと感じているセールス担当者も多いと思います。
このようなことを避けるためには、マーケティング担当者と、セールス担当者の役割を今一度捕らえ直してみることが必要になります。マーケティングは、顧客に価値を届ける企業活動全般にかかわる仕事です。提供できる価値を探し、その価値を具現化させる活動のことと言い換えてもいいでしょう。一方、セールスの役割は実際に顧客と接して、ビジネスにつなげるのが仕事です。セールスにとっては、目の前にいる顧客の課題をどのように解決するかが最優先であり、目標とするのは「現在価値最大化」です。
ここで考えていただきたいのが、提供できる価値を探し(顧客や市場を観察し、ビジネス・チャンスを見つけ出すこと)、価値を具現化させる(チャンスをモノにするためのプランを作り実行する)というマーケティングの一連の流れの最後の部分を担っているのは、セールスに他ならないということです。
つまり、顧客への価値提供をめざすという意味においては、セールスはマーケティングの重要な一部分であると言えるでしょう。
セールスとマーケティングの両者が向かう方向性が同じであることを再確認し、両者の合意のもとに共通目標を作ることができれば、それぞれのパフォーマンスはより大きなものとなるでしょう。
セールス・パフォーマンスを上げるCRM
セールスとひと口でいっても扱っている製品や企業の規模によって業務内容もスタイルもさまざまです。住宅や自動車のように一度買うと次ぎに買うまでに長い期間を要するものは、消費者が購入に至る時間は長く、一つの契約に何度も交渉を重ねます。他方、食品メーカーによる対流通業者に向けたセールスは、毎日のように商品が取引されるケースもあります。この2種類のセールスは、一見と大きな違いがあるようですが、顧客との関係のプロセスをマネジメントするという点においては変わりがありません。
今日のマーケティングでは、新規顧客を獲得するとともに、顧客の離反率を引き下げることがより重視されるようになっています。新規顧客を獲得するためのコストは、既存顧客を維持するためのコストに比べて5倍は必要とされるとされるからです。
そこで多くの企業が活用しはじめている手法が、CRM(顧客管理)です。CRMは、顧客の獲得と顧客満足度の維持という1つの目標を達成するため、ビジネスプロセス、人および技術を結びつけます。 CRMを活用することで、顧客とその行動をもっとよく知り、企業とその顧客双方にとって利益となるような強固で永続的な関係の構築を実現することができます。
例えば個人への取引であれば、過去の購入記録やWebサイトへの訪問を調べて、いつどんな商品を買っているのか、何に関心があるのか、などをシステムを利用して細かく分析することにより、さらに役に立つ製品や行き届いたサービスを顧客に提案をすることができます。また、コールセンターなどの窓口からの情報を分析することで、顧客の質問や不満などの情報をさらなる注文に結びつけたり、顧客離れを未然に防いだりすることも可能になります。
相手が法人の場合には、顧客を細かく分類することで、さらに親密な関係を持つべき得意先に注力したり、ご無沙汰をしていた得意先にすぐ訪問すべきであると注意を促したりすることが可能です。 商談の金額が大きい場合や、一つの商談の期間が比較的長いタイプの場合には、取引先の様々な部門、様々な肩書きの人と会いながら、誰がキーマンなのか、いつどんな反応があったか等の情報を記録することで交渉を有利に進めることができます。さらに同じタイプの商談について過去の成功例、失敗例を参照しながら進めることで、商談の成功率を飛躍的に高めることができます。
不況期で価格競争に陥ってしまいがちな局面でも価格以外で勝負することはできるのです。顧客を管理することにより、企業や市場に消耗を強いるだけの価格競争から抜け出し、良い循環を作ることがCRMの担う役割になります。





